勉強方法

試験に合格するための勉強法

試験に合格するためには、どのように勉強すればよいのでしょうか。

公認会計士試験と司法試験の合格を経て、私の結論は以下のとおりです。

1 過去問を、早期に、真剣に、何度も解く

2 完璧主義を捨てて平均を狙う

3 記憶をする

ひとつずつ見ていきましょう。

1 過去問を、早期に、真剣に、何度も解く

実をいうと以前の私は過去問を軽視していました。高校受験の頃、母親が各志望校の過去問題集を購入してきたのを見て、「いや直近5年の過去問を解いても同じ問題が出るわけないんだから無駄だよ」と思った記憶があります。事実、高校受験の頃の私は、過去問をほとんど解きませんでした。

過去問軽視の姿勢は、公認会計士試験まで継続していました。過去問を解くよりも予備校の問題や予想問題を解いた方が有用だろうと。なぜなら同じ問題は出ないのだから。

私が過去問の重要性に気が付いたのは司法試験を受験したときです。高校受験や公認会計士受験は運よくパスできましたが、過去問を重要視していれば、より楽に受かったと思います。

この記事を見たあなたはラッキーです。過去問の重要性に気が付くことができたのだから。なぜ過去問が重要なのでしょうか。

⑴ 同じ問題は出る

まずこれは意外な盲点です。膨大な出題範囲の司法試験ですら、同じ問題が手を変え品を変え、繰り返し出題されます。常識的に考えて、直近3年に出した問題を再度出すわけがないようにも思います。このように考えるのはなぜでしょうか。自分が試験員の立場になったとき、普通は被らないように、違う問題を作成するからでしょうか。はたまた隣の芝生は青く見えると似たような心理でしょうか。すでに出題されている問題は使い古された感が否めず、予備校などの最新の予想に傾倒してしまうのかもしれません。

しかし試験は、基礎的な知識とこれに基づく思考力を試しています。基礎的な知識に絞れば、出題範囲はそこまで広くありません。そのため同じ論点が何度も聞かれる事態が発生します。

また思考力、換言すると応用力ともいえますが、これもゼロから新しい知識を捻りだすのではありません。基礎的な知識を貫いたときに、おかしな結論に至った場合に、どのように考えるのか、というものです。要するに原則の例外です。そうすると、思考のパターンとしてはある程度、定型化できます。

確かにまったく同じ問題は出ません。しかし。試験員が聞きたいのは基礎的な知識とそれに基づく思考力なわけですから、あなたが試験会場に持っていくのは、繰り返しになりますが、基礎的な知識と思考パターンだけです。

ですので、過去問を何度も解いて、試験員が求めている基礎的な知識の範囲を確認してこれを覚える。また応用問題は、どのように考えれば結論近くにいけるのかを確認する。合格のためには必ずこの作業が必要です。

⑵ 合格ラインを知る

過去問を見なければ、あなたが目指す試験で、どこまで勉強すればよいのかわかりません。ゴールを確認しないで出発しても最短距離で到達できません。どのくらい勉強すれば合格できるのかを知るため、過去問を解かなければなりません。

私も経験があるのですが、受験生の心理として、ふわっとした合格ラインを知った気になる、というものがあります。あなたが試験の合格を目指すとき、まずは講師の授業を受講して、言われた問題をこなします。講師からは「この知識は試験に出るので気を付けてください」と注意喚起を受け、なるほどこの知識は大切なんだとあなたは記憶します。このような授業が何回か続き、予備校の答案練習などを繰り返していると、過去問を見たこともないのに、合格ラインはこの辺だろうというアタリがついてきます。このアタリが意外と厄介です。なぜなら自分の経験に基づいて、ある程度の期間をかけて醸成されたものですから、(自分の中では)それなりに信頼感があるものだからです。

しかし、この合格ラインに対するアタリは、往々にして不正確なものです。本当に合格ラインを知るのであれば、過去問を解いてどのような問題が出て、他の受験生がどの問題を正解して、合格ラインはどこにあるのかを把握しなければなりません。これは次の「完璧主義を捨てて平均を狙う」にも通ずることですが、全部の問題を解けなくても合格はできるわけですから、正解するべき問題の取捨選別をしなければなりません。

合格ラインさえわかれば、そこに向けて勉強すればいいわけです。なんとなくの合格ラインではなく、正確な合格ラインを把握して勉強するようにしましょう。

⑶ 早期に解くこと

受験生の心理として、まだ学習が進んでいないから過去問は後に回そう、準備が整ったら解こう、というものがあります。この気持ちはわかりますし、自分もそうでした。

しかしながら過去問を解く準備が整うことはありません。どんなに優秀な受験生でも、問題を全て正確に回答することはありません。必ず間違えます。

いやいや、基礎的な勉強も終わっていない中で問題を解いても意味がないよ、といった反論が考えられます。しかし過去問を解く目的は、問題に正解することではありません。試験員が求めている基礎的な知識と合格ラインを知ることにあります。逆説的ではありますが、基礎的な勉強が終わっていないからこそ、今後、遠回りの勉強をしないためにも、早く過去問を解くべきです。

過去問を解くことの抵抗感は非常にわかります。太刀打ちできなかったときの絶望感や自分を否定された感覚、このまま続けて受かるのだろうかという不安感に苛まれます。ほとんどの受験生が同じことを考えて、過去問を敬遠し、講師の授業を聞いて安心感に浸っています。だからこそ過去問という試練に立ち向かう価値があります。

非常に重要であるからこそ繰り返しになりますが、過去問を見ていないのであれば今すぐ見ましょう。太刀打ちできない場合も、一度は目を通しましょう。過去問を解くことに早すぎることはありません。

⑷ 真剣に、何度も解くこと

過去問は、真剣に何度も解く。これは記憶にとどめるためです。

過去問は真剣に解きましょう。最初は眺めるだけでもよいです。過去問を解く目的は、基礎的な知識と合格ラインを知ることにあるわけですから、これらを身に着けるためには、真剣に解かなければなりません。永く記憶にとどまらないからです。真剣に考えることは疲れます。疲れるからこそ記憶にも残ります。多くの受験生は、模試や試験会場では真剣に解きますが、自宅や図書館で一人で学習しているときは、真剣に解くことをしません。ここは精神力が試されるものだと思って、真剣に問題に取り組む必要があります。

また過去問は何度解いてもよいです。特に試験員が求める思考パターンは何度か反芻しないと身に付きません。これも記憶に永くとどめるため、繰り返し何度も解きましょう。

⑸ 小括

くどくどと過去問の大切さを書いてきましたが、過去問を解く目的は、過去問に正解することではありません。試験員が求める基礎的な知識と思考パターン、並びに合格ラインを知ることにあります。早く受かるためには、勉強を効率的に進めるために、これらを早く知る必要があります。また永く記憶するためにも、過去問は早期に、真剣に、何度も解かなければならないのです。

2 完璧主義を捨てて平均を狙う

試験は順位が出ます。しかし順位は一過性のものであり、後世に残る事実は合格または不合格です。合格者の中でビリでもよいので受かればよいのです。そもそも司法試験や会計士試験の上位層は、頭の構造が異なる化け物ぞろいです。彼ら彼女ら対等に戦うことは現実的ではありません。私は確かに司法試験と会計士試験に合格していますが、高校時代の成績は500人中450位であり、内部進学も不人気学部にしか行けませんでした。要するに並みの頭脳の持ち主です。司法試験も会計士試験も上位合格ではありませんが、いずれも平均より上の成績で1回でパスしています。このブログを見ている大多数の方は、失礼ではありますが、平均的な頭脳の持ち主ではないかと思います。したがって完璧主義を捨てて平均を狙えば、上位合格は無理かもしれませんが、早期に合格はできます。

ではどのように勉強をすればよいのでしょうか。

これはもうすでに述べておりますが、何が平均なのかを知らなければなりません。そのための手段はただひとつ、過去問を解くことです。過去問を解いて、正答率を知り、おおよその受験生が正答している問題を知る。その問題を絶対に間違えないようにする。これに尽きます。

試験勉強をしていると、あれこれ手を出したくなります。もちろん余力があればそれに越したことはないのですが、時間は有限です。極論、基本的なテキストと過去問をやりこめば試験はクリアできます。

受験生は隣の芝生が青く見えがちです。また、これが出題されたらどうしようと心配になってしまいます。はたまた他の受験生と差をつけようと高度な論点に取り組む者もいます。

試験に合格する秘訣は、他人を出し抜こうとしない。これに尽きます。

他人と同じ問題に正解して、他人と同じ問題を間違える。仮に全ての科目で平均点を獲得できれば、それだけで上位合格も夢ではありません。

試験は個人競技なので、色々と欲が出てきますが、それらをぐっとこらえて、決して他人を出し抜こうとせず、一億玉砕の精神で臨む必要があります。

余計な欲を出さずに、完璧主義を捨てて平均点を狙う。このマインドは必ず持ちましょう。

3 記憶をする

資格試験において、記憶をすることは避けては通れません。人は物事を忘れますので、繰り返し基礎知識を詰め込む必要があります。

記憶をするためのポイントは、繰り返し見ること。これに尽きます。

有名な研究で、エビングハウスの忘却曲線というものがあります。次の日にはおよそ80%の物事を忘れているというあれです。この研究結果に従えば、今日勉強したことは、次の日、1週間後、1か月後に見返すとよいという考え方もあり得るところです(一時期私もやっていました)。ただし、このように記憶喚起をスケジューリングすることは無駄に労力がかかります。そのため、常に持ち運べる形で、電車の移動やなにかの待ち時間、トイレなどの隙間時間を利用して、飽きるほど見返すようにしましょう。

記憶をするという行為自体も億劫な作業ではありますが、試験の合格を目指すのであれば、これは避けては通れません。

4 総括

試験に最短で合格するための方法として、楽な作業はありません。どれも辛い作業です。辛いからこそ周りの受験生もやりません。私が会計士試験と司法試験を通じて学んだ、試験に合格するための方法は以上です。参考になると幸いです。

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